『退去時の原状回復』っていくらかかるんだろう?って不安になりますよね?そこで、退去時の入居者負担に関して説明しましょう!◆タイトルにある【原状回復ガイドライン】とは?
1998年に国土交通省が発表した(2004年・2011年改訂)『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』っちゅーやつで原状回復に関するトラブル防止と迅速な解決のため原状回復義務とは何かを明確化し、それに基づいて賃貸人・賃借人の負担割合を具体的にしたもの・・・。
1998年3月以降にお部屋を借りた方は契約するときに『賃貸住宅紛争防止に基づく説明書』ってのを説明されて記名押印したのを思い出してください。あれです!
◆ガイドラインのポイント
①原状回復とは
原状回復を『賃借人の住居、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること』を定義とし、その費用を賃借人負担とした。そして、いわゆる経年変化、通常の使用による損耗等の修繕費用は、賃料に含まれるものとしました。
➡原状回復=賃借人が借りた当時の状態に戻すことではない
②通常の使用とは
『通常の使用』の一般的定義は困難なため、3つに区分して、賃貸人と賃借人の負担の考え方を明確にしました。
A:賃借人が通常の住まい方、使い方をしていても発生すると考えられるもの
例≫日照による壁紙の変色
B:賃借人の住まい方、使い方次第で発生したりしなかったりすると考えられるもの(明らかに通常の等による結果とはいえないもの)
例≫たばこのヤニ汚れやにおい・ねじや釘のあと
A(+B):基本的にはAであるが、その後の手入れ等賃借人の管理が悪く、損耗等が発生または拡大したと考えらるもの
例≫エアコンの水漏れによる壁・床の腐食
A(+G):基本的にはAであるが、建物価値を増大(グレードアップ)させる要素が含まれているもの
例≫バスタブ・トイレの交換
➡B及びA(+B)については賃借人に原状回復義務がある
③経過年数の考慮
②で説明したBやA(+B)の場合であっても経年変化や通常損耗が含まれており、賃借人はその分を賃料として支払っているので、賃借人が修繕費用の全てを負担することとなると、契約当事者間の費用配分の合理性を欠くなどの問題があるため、賃借人の負担については、建物や設備の経過年数を考慮し、年数が多いほど負担割合を減少させる考え方を採用しています。
➡20年前に張り替えた壁紙と6か月前に張り替えた壁紙の残存価格が違うので負担金額も変わる
④施工単位
原状回復は毀損部分の復旧なので、可能な限り既存部分に限定し、その補修工事は出来るだけ最低限度の施工単位を基本としていますが、毀損部分と補修を要する部分とにギャップ(色合わせ、模様合わせ等が必要な時)がある場合の一定の判断を示しています。
➡部屋全体の壁紙の張替えの必要はなく、毀損した箇所を含む面の費用負担を払えば良い
トラブルを防ぐには入居時にチェックリストをしっかり作り、退去時の状況を貸主の立ち合いの下、確認することが重要です。